―「速くなる」ではなく「速さを発揮し続ける」ために―
神戸・六甲エリアのジムNeeDSでは、一般の方専門のパーソナルジムとアスリート専門ジムがあります。
アスリートジムNeeDSでも。試合期(インシーズン)に入ると、多くの選手や指導者がトレーニングの内容に悩みを相談にきます。
オフシーズンのように追い込むべきなのか、それとも調整に徹するべきなのか。その中でも特に難しいのが「スピードトレーニング」の扱いです。
結論から言うと、試合期のスピードトレーニングは能力を向上させるためではなく、“維持しながら発揮するため”のものです。
この前提を外してしまうと、疲労の蓄積によって試合パフォーマンスが低下し、トレーニングの意味がなくなってしまいます。本記事では、試合期におけるスピードトレーニングの本質から、具体的なメニュー設計、負荷設定までを徹底的に解説します。
試合期にスピードトレーニングは必要なのか?

まず大前提として、スピードは「使わなければ落ちる能力」です。
特にスプリント能力は、筋力だけでなく神経系(発火頻度・動員効率)に大きく依存します。そのため、試合だけでは刺激が足りず、意図的にスピードを出すトレーニングを行わないと、徐々に“キレ”が失われていきます。
一方で、スピードトレーニングは身体への負担も大きく、やりすぎれば疲労が蓄積し、怪我のリスクも高まります。
つまり試合期に求められるのは、「やらなさすぎ」と「やりすぎ」の間を正確にコントロールすることです。
試合期スピードトレーニングの3原則

① 質を最優先する(Max Effort)
試合期においては、スピードトレーニングの“量”は必要ありません。重要なのは「どれだけ速く走ったか」です。
- 強度:90〜100%
- 本数:少なくてOK
- 疲労状態では行わない
スピードは中途半端な強度(70〜80%)では維持できません。必ず「速い動き」を身体に思い出させる必要があります。
② ボリュームを徹底的に抑える
試合期の最大の敵は「疲労」です。
スピードトレーニングは神経系への負荷が高いため、やりすぎると回復に時間がかかり、試合に悪影響を及ぼします。目安としては:
- 総スプリント距離:100〜300m
- 合計本数:10本以内
- セット数:1〜2セット
「少なすぎるのでは?」と感じるくらいでちょうど良いです。
③ 完全回復を確保する
スピードトレーニングでは「疲れた状態で次の1本を行う」ことに意味はありません。
- 1本ごとに2〜5分休憩
- 心拍数がしっかり落ちてから次へ
これにより、毎回のスプリントの質を最大化できます。
試合期に行うべきスピードトレーニングの種類
試合で求められるスピードは単純な直線ダッシュだけではありません。以下の3つに分けて考えることが重要です。

① 加速(Acceleration)
試合中、最も頻繁に発生するのが「止まった状態からの加速」です。
設定例
- 距離:10〜30m
- 本数:3〜6本
メニュー例
- 10mダッシュ × 4本
- 20mダッシュ × 3本
ポイント
- 前傾姿勢を保つ
- 地面を“押す”意識
- 最初の3歩の質を高める
② 最大スピード(Max Velocity)
トップスピードに到達する能力は、プレーの“決定力”に直結します。
設定例
- 距離:20〜40m
- 本数:2〜4本
メニュー例
- フライング30m(助走10m+全力30m)× 3本
ポイント
- 接地時間を短く
- リラックスした上半身
- 力みをなくす
③ 減速・方向転換(Deceleration / COD)
現代スポーツでは「止まる力」が非常に重要です。ここが弱いと、怪我のリスクも高まります。
メニュー例
- 10mダッシュ → 急停止 × 4本
- 5-5シャトル × 3本
ポイント
- 股関節主導でブレーキ
- 膝に頼りすぎない
- 重心コントロール
実践的な1日のトレーニング例(試合2〜3日前)
- ① ウォームアップ(10〜15分)
- ② 加速ドリル
- ③ スプリント(20m × 4本/フライング30m × 3本)
- ④ 減速ドリル(10m → ストップ × 3本)
- ⑤ 軽いジャンプトレーニング(3×3)
合計時間:30〜45分。このくらいのボリュームで十分にスピード能力は維持できます。
試合前日の“刺激入れ”の重要性
試合前日は完全休養にするケースもありますが、スピードに関しては軽い刺激を入れた方がパフォーマンスが上がる場合が多いです。
例
- 10〜20mダッシュ × 2〜3本
- 軽いジャンプ
目的は「疲労を残さず、神経を活性化させること」です。
ウェイトトレーニングとの関係
スピードは筋力と密接に関係しているため、試合期でもウェイトトレーニングは継続すべきです。ただし目的は「筋肥大」ではなく「神経刺激」です。
例
- スクワット:85〜90% 1RM × 2〜3回 × 2〜3セット
- クリーン系:70〜80% × 2〜3回 × 3セット
スピードトレーニングと同日に行う場合は、必ずスピード → ウェイトの順番にします。
よくある失敗パターン
- ❌ やりすぎる → 疲労蓄積 → 試合パフォーマンス低下
- ❌ 強度が低い → スピードが維持できない
- ❌ 試合直前に追い込む → コンディション最悪
サッカー(週1試合:土曜試合想定)
サッカーは低〜中強度の中に高強度スプリントが点在する競技です。そのため「スプリントの頻度維持」と「疲労管理」のバランスが重要になります。
週間スケジュール
- 日:試合
- 月:リカバリー(軽いジョグ、モビリティ/スプリントなし)
- 火:スピード(メイン)+下半身ウェイト ― この日が“最も重要”(10〜20m加速 × 4〜6本/フライング30m × 2〜3本/軽いCOD/スクワット85〜90% × 2〜3回 × 2〜3セット)
- 水:技術・戦術+軽強度走(スプリントは80%程度まで)
- 木:スピード(軽刺激)― 神経系の維持(10〜20m × 2〜3本/90%程度・ジャンプ系3×3)
- 金:前日調整(流し60〜70%/スプリントなし or 1〜2本のみ)
ポイント
- 火曜に“質の高いスピード”を入れる
- 木曜は“刺激だけ”
- 総スプリント量は週200〜400m以内
ラグビー(週1試合)
ラグビーはコンタクト+高強度スプリントという非常に負荷の高い競技です。そのため、サッカーよりさらに疲労管理重視になります。
週間スケジュール
- 日:試合
- 月:完全休養 or リカバリー
- 火:スピード(メイン)+ウェイト(10mダッシュ × 4本/20mダッシュ × 3本/フライング20〜30m × 2本/コンタクト軽め/ウェイト高強度低ボリューム)
- 水:コンタクト+戦術(スプリントほぼなし)
- 木:スピード(超軽刺激)10m × 2〜3本/リアクション系ドリル
- 金:前日調整
ポイント
- コンタクトの疲労が最優先
- スプリントは“短く・少なく”
- ハムストリングスのケア必須
バスケットボール(週2試合想定)
バスケは短距離スプリント+方向転換の連続。さらに試合頻度が高いため、「トレーニング日」がほぼありません。
週間スケジュール(例:水・土試合)
- 月:スピード(軽め)5〜10mダッシュ × 4〜6本/COD中心/ジャンプ系(3×3)
- 火:調整
- 水:試合
- 木:リカバリー
- 金:スピード刺激 10m × 2〜3本/リアクションドリル
- 土:試合
- 日:オフ or リカバリー
ポイント
- 長距離スプリントは不要
- COD・減速能力を重視
- ボリュームは極小(100〜200m以下)
陸上短距離(100m・200m)
唯一、「試合期でもスピードを伸ばし続ける」競技です。ただし、それでも疲労管理は極めて重要です。
週間スケジュール(週1レース)
- 月:リカバリー
- 火:最大スピード フライング30〜60m × 3〜5本
- 水:テンポ or 軽負荷
- 木:加速 30m × 4〜6本
- 金:刺激入れ 30m × 2〜3本(95%)
- 土:試合
ポイント
- 常に100%に近い強度
- 本数は少ないが“質は最大”
共通する最重要ポイント
どの競技でも変わらない本質は3つです。
- ① スピードは“最大強度でしか維持できない” → 中途半端な強度は意味がない
- ② 試合期は“疲労管理が最優先” → トレーニングで強くなるのではなく、試合で発揮する
- ③ ボリュームは最小限 → 足りないくらいがちょうどいい
現場レベルでの判断基準
最後に、かなり重要な判断軸です。
- 動きが重い → スピード中止
- キレがある → 実施
- 試合が近い → 減らす
「予定より状態を優先する」――これができるかどうかで、トレーナーとしての質が大きく変わります。
まとめ
試合期のスピードトレーニングは、オフシーズンとは全く別物です。重要なのは以下の3点です。
- 質(スピード)を最優先する
- ボリュームを最小限に抑える
- 疲労管理を徹底する
スピードは一度身につければ、適切な刺激を入れることで維持できます。しかし、扱いを間違えればすぐに失われる繊細な能力でもあります。だからこそ試合期は、「どれだけやるか」ではなく、「どれだけ無駄を削ぎ落とせるか」が重要になります。
この考え方をベースにトレーニングを設計することで、試合での一歩目の速さ、抜け出すスピード、切り返しの鋭さが安定して発揮されるようになります。
“学生トレーナーも学べる”──教育の現場としてのNeeDS
現場で「生きた学び」を得る学生トレーナーたち
神戸・六甲道にあるアスリートジムNeeDSの最大の特徴の一つは、アスリートのためだけでなく、未来のトレーナーを育てる教育の場でもあることです。
大学や専門学校でスポーツ科学やトレーニング理論を学ぶ学生たちは、教科書の中だけでなく、実際の現場で「生きた身体」と向き合うことによって本当の意味での理解を深めます。NeeDSでは、その「現場学習」のステージが整っています。
六甲道という地域に根ざした温かい空間で、学生たちはアスリートや一般クライアントと直接関わりながら、ストレングストレーニング、解剖学、神経生理学、コンディショニング、フィードバック技術といった現場で即戦力となるスキルを体感的に学びます。
“教える”のではなく、“感じて、考えて、伝える”学び
NeeDSで学ぶ学生トレーナーは、最初から指導に立つわけではありません。まずは「見る力」「聴く力」「感じ取る力」を磨くことからスタートします。
例えば、アスリートのスクワットを観察しながら、「どの筋が動いているか」「重心がどの位置にあるか」「呼吸のタイミングは適切か」など、動作の中の“意味”を探る訓練を重ねます。
この「観る学び」が、やがて「考える力」へと変わり、最終的には「伝える力」──つまりトレーナーとしてのコミュニケーション能力へと繋がっていきます。教科書に載っている理論を覚えるだけではなく、現場で“なぜそうなるのか”を自分の目と手で確かめ、考え、伝える。このプロセスの中で、学生は“トレーナーの思考”を身につけていきます。
教科書では学べない“トレーニングのリアル”
NeeDSが学生教育で重視しているのは、トレーニングを「理解」するだけでなく「体験」として理解することです。授業で学んだ言葉は、アスリートの身体を前にした瞬間、その意味を現実の感覚として理解できるようになります。
トレーニング中に様々な問いをトレーナーが投げかけ、学生はその反応を観察し、修正案を考え、時に自ら身体を動かして実験します。こうした“動作と理論の往復学習”が、NeeDS教育の中核です。
学びの循環──アスリート、トレーナー、学生が育ち合う場
NeeDSの現場では、「教える側」と「教えられる側」が固定されていません。トレーナーはアスリートに動作教育を行い、アスリートはその結果を学生に共有し、学生はその変化を観察・記録しながら再びトレーナーにフィードバックします。
このサイクルの中で、それぞれが“学びの主体”になります。トレーナーがアスリートを教育し、アスリートが学生を刺激し、学生が現場に新しい視点をもたらす──。NeeDSは、そんな学びが循環する有機的な教育環境を実現しています。六甲道という地域に密着しながら、学びのネットワークが広がり続けています。
現場で育つ「教育的トレーナー」
NeeDSが育てたいのは、単にトレーニングメニューを組める人ではなく、“教育的に指導できるトレーナー”です。教育的とは、相手に「気づきを与えられる指導」を意味します。選手に動作を押し付けるのではなく、選手自身が理解し、自ら修正できるよう導く力。そのためには、トレーナー自身が「人を観察し、問いかけ、傾聴する」姿勢を持つ必要があります。
NeeDSの学生たちは、現場でその在り方を体感しながら、やがて自分の言葉でアスリートと向き合えるようになります。その瞬間こそ、彼らが“学生”から“トレーナー”へと成長する節目です。
六甲道から全国へ──教育型ジムの可能性
NeeDSのように、学生トレーナーが実際に現場に立ち、アスリートと共に成長できる環境は全国的にも稀です。神戸・六甲道という地域から生まれたこの教育モデルは、「ジム=鍛える場所」という従来の概念を超えて、「ジム=学びと成長の場」へと進化させました。
ここから巣立った学生たちは、全国のスポーツ現場で“教育的トレーナー”として活躍しています。その原点は、NeeDSで培った「現場で感じ、考え、動きながら学ぶ」経験にあります。アスリートの成長を支えるだけでなく、未来のトレーナーを育てること──それこそがNeeDSが地域と共に描く、“循環するスポーツ教育の理想形”です。
六甲道・神戸でパフォーマンスを高めるならアスリートジムNeeDSへ
六甲道のアスリートジムNeeDSでは、アスリートから一般の方、そして学生トレーナーまで、「動ける身体」を育てるプログラムを提供しています。神戸・六甲道で本気で身体を変えたい方へ。トレーニングで、あなたのパフォーマンスを次のステージへ。




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